リアルタイム組込みシステム という本を読みましたので感想を書いておきます。
本書はリアルタイム組込みシステムの基礎、特にマルチタスクについて体系的に取り扱った本です。
OSを使わないマルチタスクの話も結構あって、全449ページ中、セマフォの話が始るのが168ページ目からでした。
つまりセマフォ以前の話にそれだけページ数を費やしているのです。
マルチタスクシステムの開発において、OSを乗せた場合と乗せない場合で何がどう違うのか、大変参考になりました。
またタスク分割のガイドラインも豊富で、すぐに設計に役立てるアドバイスはたくさんありました。
OSを乗せるかどうか悩むような世界の組込みシステムを開発している人にはお勧めの一冊です。
残念な点としては、英国の研究者が書いた本なので、uItronを扱っていないことです。日本の組込みシステム書籍でこれはどうかと思います。
また、難解な用語が多く、読み解くには苦労しました。すんなり読める本ではありません。
ちょっと気合いが必要な本です。
開発環境 | iOS(iPhone) SDK 4.0 |
実行環境 | iOS 3.1.3 |
インターネットからJpeg画像をダウンロードして表示するアプリケーションを開発していたとき、 特定のJpeg画像を読みだしたときにiOS SDK側でEXC_BAD_ACCESSが起きて困ったことがありましたので、 解析結果と対策を書いておきます。
iOS SDK 4.0で開発したコードを古いiPodのiOS 3.1.3で動かしたときにEXC_BAD_ACCESSが起きました。
iPhone Simulatorでは起きませんでした。
Jpeg画像については依存性があり、いくつかのJpeg画像(確認した範囲では4つ)で高確率で問題が起きておりましたが、
それらのJpeg画像以外では問題は起きませんでした。
EXC_BAD_ACCESSが起きている所はコードの以下の場所でした。
UIImage *image = [UIImage imageWithContentsOfFile:@"***"];
デバッガからバックトレースを取ってみたところ、以下のようになっていました。
(gdb) bt #0 0x3407c2f4 in readCanon1DMKIICustomFunctions () #1 0x340653d4 in readProps () #2 0x34064d78 in readProps () #3 0x34064d78 in readProps () #4 0x34064910 in readTiffPropsFromData () #5 0x34064828 in readExifData () #6 0x34060fd8 in initImageJPEG () #7 0x340607bc in _CGImagePluginInitJPEG () #8 0x3404e174 in makeImagePlus () #9 0x3404dff0 in CGImageSourceCreateImageAtIndex () #10 0x331b7438 in _UIImageRefAtPath () #11 0x331b71b4 in -[UIImage initWithContentsOfFile:] () #12 0x332267f8 in +[UIImage imageWithContentsOfFile:] () #13 0x000201a8 in -[ImageFrameView layoutSubviews] () at /***/***.m:110 #14 0x331fa2d8 in -[UIView(CALayerDelegate) _layoutSublayersOfLayer:] () #15 0x324ba1c0 in -[CALayer layoutSublayers] () #16 0x324b9edc in CALayerLayoutIfNeeded () #17 0x324b9844 in CA::Context::commit_transaction () #18 0x324b9474 in CA::Transaction::commit () #19 0x324c15dc in CA::Transaction::observer_callback () #20 0x32407830 in __CFRunLoopDoObservers () #21 0x3244f346 in CFRunLoopRunSpecific () #22 0x3244ec1e in CFRunLoopRunInMode () #23 0x342e91c8 in GSEventRunModal () #24 0x331b5c30 in -[UIApplication _run] () #25 0x331b4230 in UIApplicationMain () #26 0x000029ec in main (argc=1, argv=0x2ffff5c0) at /***/main.m:14
なんぞこれ・・・という感じですが、
readExifDataの中で問題が起きていたので、念のためJpeg画像のExifデータを確認してみました。
結果、特に問題は見つかりませんでしたが、Canon EOS 7D で撮影したJpeg画像であることが分かりました。
Canonの画像特有の問題かと思い、Exif編集ソフトでCanonのMakerNoteを取り除いてみたところ、EXC_BAD_ACCESSは起きず 問題は起きなくなりました。CanonのMakerNote読み出しに関するiOS 3.1.3の不具合ではないかと思っています。
iOSアプリの方で、imageWithContentsOfFileにデータを渡す前に、Exif編集ソフトがやるようにCanonのMakeNoteを取り除く処理を追加して、 この問題を回避しました。
組込み開発現場のプロジェクトマネジメント&プロセス改善 という本を読みましたので感想を書いておきます。
本書は組込みソフトウェアの開発管理に関する課題を取り扱った本です。
あるべき姿を説くというより、混沌とした開発現場を今よりマシにするための実践的な内容が多く参考になりました。
プロセス改善を進めている部門の人は読んでおいても良いのではないかと思います。
改善のヒントが色々書いてありますし。改善を進めていく中で何が大切なのかが良く分かります。
特に改善目標を設定する人にはお勧めの一冊です。
CMMIレベル3を目指すとか言い出して現場の顰蹙を買わずに済みます。
なお、本書を読んで私が次にやってみようと思った取り組みは、
「ソフトウェアの上流設計段階で定めた設計思想を、プロジェクトメンバー全員に理解させること」です。
私が某事例で上流設計を担当したときは、仕様書は書いたのですが、思惑までは共有できないまま先に進めてしまいました。酷いですね。
その結果、下流設計のあちこちで判断ミスが発生し、余分な工数が突如発生しまくって管理困難な状態になってしまいました。だいぶ反省しました。
次からは考えを共有する場を設けて進めて行こうと思います。仕様書も思惑が伝わるようにしておいた方が良いですね。
やることたくさんありそうです。